就労移行支援事業所manaby三宮様が主催するイベント「障がいや困り感のある方への就労相談会」にて、地域の皆さまを対象に「自己理解の必要性について」というテーマで講座を実施いたしました。本イベントは、就労に向けた準備を進める上で重要な知識やスキルを学ぶ機会を提供する場として、多くの方々にご参加いただいております。当ステーションとしても、地域の就労支援に貢献する一環として、今回の講座において講師を務めさせていただきました。
講座のテーマ「自己理解の必要性について」では、まず、就労を目指す上でなぜ自己理解を深めることが必要なのかについて詳しく解説しました。自己理解とは、自分の強みや弱み、得意なことや苦手なこと、価値観や特性など、自分自身のことを客観的に把握することを指します。これを深めることで、自分に合った仕事を見つけやすくなり、就労後の職場環境でも無理なく働き続けることができるようになります。
たとえば、自己理解が不足している場合、興味がない仕事を選んでしまったり、自分の特性に合わない環境でストレスを抱える可能性が高まります。一方で、自分の特性を正確に把握し、それに基づいて職場を選べば、長期的に働きやすい環境を作ることができ、結果として安定した生活を築くことが可能です。そのため、就労を目指す方にとって、自己理解はスタート地点であり、非常に重要なプロセスなのです。
さらに、自己理解が進むことで得られる具体的なメリットについても説明しました。たとえば、自分の強みを把握していれば、それを活かす職場選びが可能になります。また、苦手な分野についても認識することで、事前に対策を立てたり、サポートを受けることができるようになります。また、自己理解が深まることで自己肯定感が向上し、前向きな気持ちで就労に向き合えるという心理的なメリットも挙げられます。
講座の後半では、自己理解を深めるための具体的なツールとして、当ステーションで積極的に活用している「クライシス・プラン(CP-J)」を紹介しました。このクライシス・プランは、利用者様が自分自身の状態を客観的に把握し、ストレスや困難な状況に対処するための個別の計画を作成するためのツールです。今回の講座では、参加者の皆さまにワークショップ形式で実際にクライシス・プランを作成していただきました。
ワークショップでは、まず簡単な説明を行い、その後、参加者の皆さま一人ひとりが自分自身の状況や特性を振り返りながらプランを作成する時間を設けました。参加者の中には、自分の特性を振り返るのが初めてという方も多く、真剣に考えながら取り組んでおられる様子が印象的でした。作成したプランをもとに、講師や他の参加者と意見交換を行う場面もあり、終始和やかで活発な雰囲気の中で進行しました。
講座終了後には、参加者の皆さまから「自分自身を振り返る良い機会になった」「これまで考えたことがなかった自分の特性に気づくことができた」という声を多数いただきました。また、クライシス・プランについても「今後の就労活動や日常生活に役立てたい」といった前向きな感想が寄せられました。こうした声を受け、私たちとしても、自己理解を深める支援の重要性を改めて実感することができました。
ハピネス訪問看護ステーションでは、精神科に特化した訪問看護のサービスを通じて、利用者様の生活全般を支える支援を行っています。その中で、自己理解を深める取り組みは、就労だけでなく、生活全般の安定や自立に向けた重要なステップとして位置づけています。今後も、今回のようなイベントへの参加や地域の支援機関との連携を通じて、利用者様一人ひとりが自分らしく生活し、働ける環境を整えるお手伝いをしていきたいと考えています。
今回の講座は、就労移行支援事業所manaby三宮様のご協力のもとで実現しました。これからも地域の皆さまと協力し合いながら、就労を目指す方々に寄り添った支援を提供してまいります。