神戸市を拠点とする精神科に特化した「ハピネス訪問看護ステーション」では、地域の関係機関と連携しながら、当事者の方々へ精神科訪問看護の支援について知っていただく機会を大切にしています。精神疾患を抱える方にとって、住み慣れた地域で安心して生活を続けるためには、訪問看護などの地域支援が欠かせません。その中で、私たちは訪問看護という枠を超えて、地域全体のメンタルヘルス向上に貢献できるよう活動を続けています。

今回は、その取り組みの一環として、明石市にある「就労移行支援ハンズ明石」様にご依頼をいただき、通所されているご利用者の皆さまへ向け講座を開催しました。テーマは『こころと体を整える良い睡眠のポイント』。精神疾患を抱える方の中には、睡眠に関するお困りごとを抱えている方が非常に多く、精神科訪問看護の現場でも、睡眠の質を高める支援は非常に重要となります。

今回の講座では、睡眠についての基本的な知識から、睡眠にまつわる豆知識、そして実際に今日から実践できる具体的な改善方法まで、幅広くお話ししました。たとえば、睡眠のメカニズムについて説明する際には、脳と体の休息がどのように行われるかわかりやすく解説。また、よく耳にする「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の違いや、それぞれの役割についても触れました。

さらに、より良い睡眠を得るためのポイントとして、以下のような内容をご紹介しました。

• 朝起きたら太陽の光を浴びること

• 日中に適度な運動を取り入れること

• 夜はスマートフォンなどのブルーライトを避けること

• 決まった時間に寝起きするリズムを作ること

• カフェインやアルコールを摂取するタイミングに注意すること

特に、今回の講座では「これから就労を目指している方々」に向けたお話であることを意識しました。良い睡眠は、心身のコンディションを整えるだけでなく、仕事に向かう活力や集中力を高め、日中のパフォーマンス向上にも直結します。そのため、単なる「よく眠るためのコツ」という枠に留まらず、「就労に向けた準備の一環」として、睡眠の大切さをお伝えしました。

講座では、ハピネス訪問看護ステーションで実際に行っている睡眠に関する支援をお伝えしたり、精神科訪問看護の役割について知っていただけるよう内容を工夫しました。精神疾患を抱える方が、地域の中で自分らしい生活を取り戻していくためには、医療機関だけでなく、就労移行支援をはじめとした障害福祉サービスとの連携が必要です。精神科訪問看護は、就労を支える支援機関のひとつとして、生活全般のサポートや医療と福祉をつなぐ架け橋となる役割を果たしています。

参加者の方々からは、「今日からできることが分かってよかった」「睡眠のことで悩んでいたので参考になった」という嬉しいご感想もいただきました。こうした講座を通して、精神科訪問看護についても身近に感じていただけたのであれば、私たちにとって何よりの喜びです。

今後もハピネス訪問看護ステーションでは、地域のさまざまな関係機関と連携を図りながら、精神科訪問看護の支援について知っていただく活動を続けてまいります。そして、一人でも多くの方が、自分らしく安心して暮らせる社会づくりに貢献していきたいと考えています。