神戸市を拠点とする精神科に特化したハピネス訪問看護ステーションでは、「クライシス・プラン」の積極的な活用を通じて、利用者さんが安心して地域で暮らし、働くためのサポートを行っています。

その取り組みの一環として、地域の皆さまにもクライシス・プランのことをもっと知っていただけるよう、私たちは定期的に講座やワークショップを開催しています。

▶︎クライシス・プランとは?

クライシス・プランとは、自分が不調になりそうなときや、実際に不調に陥ったときに、どんなサインが現れ、どんな対応が有効かをあらかじめ整理しておく「こころの取扱説明書」のようなものです。自分の状態を可視化し、信頼できる人たちと共有することで、早めの支援や回復につなげることができます。

▶︎アイ・ワークス西明石様での講座を開催

2025年5月19日、明石市にある就労移行支援事業所アイ・ワークス西明石様にて、「クライシス・プランをつくろう」というテーマで講座を開催しました。

当日は、通所されている利用者の皆さまを中心に、地域の支援者の方々にもご参加いただき、にぎやかな会となりました。

まずは、クライシス・プランの基本的な考え方や活用の目的についてスライドを使ってわかりやすく説明。その後は、参加者一人ひとりが実際に自分自身のクライシス・プランを作成するワークへと進みました。

「自分がどんなときに不調になるか」「そのサインをキャッチしたとき、何をするか」「どんな支援が有効か」などを具体的に言語化していく過程は、決して簡単なものではありません。しかし、参加者同士で「こんなときはどうしてる?」「これいいね」と互いのクライシス・プランを見せ合いながら、終始和やかな雰囲気で講座が進行しました。

▶︎「共有すること」を前提とした安心づくり

クライシス・プランは「一人でつくって、一人で見るもの」ではありません。大切なのは、周囲の支援者や家族と共有することを前提につくる、という点です。講座の中でも「見せることで安心できる」「誰かが自分の状態を気にかけてくれていると感じられる」といった声が聞かれました。

自分を理解してもらうためのツールとして、クライシス・プランが果たす役割の大きさを、改めて実感する機会となりました。

▶︎「つくって終わり」ではなく、ここからがスタート

クライシス・プランは、一度つくって終わりではありません。生活の変化や心身の状態によって、見直しや更新が必要です。だからこそ、継続的に活用し続けられる仕組みや、地域で支え合うつながりが大切です。

ハピネス訪問看護ステーションでは、今後もさまざまな地域資源と連携しながら、クライシス・プランの活用を通じて、メンタルヘルスの向上と安心できる地域づくりに貢献していきます。