音楽療法でよく使われる言葉にアルトシューラーの「同質の原理」があります。悲しいときには悲しい曲、興奮しているときには激しい曲、というように、まずはその人の精神状態に近い音楽を用いてその時の気持ちを受容し、そこから曲を変えることで気分を良い状態へ導いていくのです

音楽がもたらす癒しの効果

例えば、子育ての経験でお話しすると、赤ちゃんを寝かしつけるとき、大声で泣いているのに、優しく“ゆりかごのうた”を歌ってもなかなか耳に届きません。抱っこして少し動きながらテンポよく“どんぐりころころ”などを歌ってみて、泣き止み少しでも聴いてくれたならこっちのもの。そこから少しずつ静かにゆっくりと歌って聴かせることで徐々に落ち着き入眠したということがありました。

音楽療法の実例:ホスピスケアでの活用

音楽には言葉で指図されるような圧力を感じさせることなく、心を動かしていく不思議な力があります。💸
 DVD『歌の翼に』では、カナダの緩和ケア/ホスピスケアでの音楽療法を観ることができます。様々な楽器🎻🎹🪇🪕🪘をワゴンに乗せて病室を訪ねる音楽療法士が、患者の好きな曲を一緒に歌ったり楽器を演奏したりして慰め寄り添うことで、患者の辛い気持ちが自然と解きほぐれていきます。音楽の力の素晴らしさを感じずにはいられません😊

音楽療法の参考文献

  • 笠井史人・小島寿子『基礎から学ぶリハビリテーションと音楽療法』音楽之友社、2013
  • D.サーモン他『DVDブック 歌の翼に』春秋社、2004