精神科訪問看護では、ご利用者が精神的に不安定な状態に陥った際、突発的な行動や衝動的な言動が見られることがあります。そのため、訪問看護師はご利用者の状態を適切にアセスメントし、安全管理を徹底することが求められます。
神戸市を拠点とするハピネス訪問看護ステーションは、精神科に特化した訪問看護を提供しており、リスクマネジメントの一環としてクライシス・プラン（CP-J）を活用しています。クライシス・プランは、ご利用者自身が「自分の不調の兆候」を言語化し、適切な対処法を事前に決めておく計画書のことです。
今回のコラムでは、精神科訪問看護における安全管理の重要性と、クライシス・プランの活用方法について詳しく解説します。
▶︎精神科訪問看護におけるリスクと安全管理の必要性
精神疾患を抱える方の中には、症状の悪化時や強いストレスを受けた際に、感情のコントロールが難しくなり、突発的な行動を取ることがあります。具体的には、
• 他害行為（暴言・暴力）
• 自傷行為
• 外出困難（引きこもり）
• 服薬拒否・生活リズムの乱れ
といったリスクが生じる可能性があります。特に、精神的な不調が進行すると、支援者が介入するタイミングを逃し、症状が深刻化してしまうことも少なくありません。そのため、早期介入を可能にするツールとしてクライシス・プランが有効です。
▶︎クライシス・プランとは？
クライシス・プラン（CP-J）とは、ご利用者が自身の精神状態の変化を把握し、不調時の適切な対処法を決めておく計画のことです。安定している状態のときに、ご本人・支援者・家族が共同で作成し、
• どのような状況で精神的不調に陥るか
• 不調の兆候は何か
• 不調を防ぐためにできること
• 不調時の具体的な対応策
を整理します。
ハピネス訪問看護ステーションでは、ご利用者のセルフケア能力向上と社会復帰を支援する目的で、クライシス・プランを積極的に活用しています。
▶︎クライシス・プランの活用によるメリット
① 早期対応が可能になる
注意状態（黄）の段階で対策を講じることで、要注意状態（赤）への進行を防ぎ、重大な事故や入院のリスクを軽減できます。
② 支援者間での対応を統一できる
訪問看護師・主治医・家族・相談支援員など、多職種が関わる中で、対応が異なるとご利用者が混乱する可能性があります。クライシス・プランを共有することで、支援者間の連携がスムーズになります。
③ ご利用者の自己理解を深める
ご利用者自身が「自分の不調のサイン」を知ることで、セルフケア能力が向上し、将来的な社会復帰にもつながります。
▶︎まとめ
精神科訪問看護において、他害行為や自傷行為のリスクマネジメントは非常に重要です。クライシス・プランを活用することで、
• 不調の兆候を早期に察知できる
• 適切な対策を講じることができる
• 支援者間での迅速で統一された対応が可能になる
といったメリットがあります。
ハピネス訪問看護ステーションでは、ご利用者の意思や権利を尊重しながら、安全で安心できる支援を提供するため、クライシス・プランの活用を推進しています。
精神科訪問看護に携わる方々にとって、クライシス・プランはリスクマネジメントの有効なツールとなります。今後も、ご利用者の安全を守りながら、自立支援に向けた取り組みを続けていきます。
