神戸市に拠点を置く精神科に特化した「ハピネス訪問看護ステーション」では、近年、ひきこもり状態にある方への支援の機会が増えてきています。こうした状況の中、2025年4月18日、明石市を拠点にメタバースを活用してひきこもり支援を行う団体「I.C.」様と共同で、『精神科訪問看護のひきこもり支援』をテーマにVRChat内でセミナーを開催しました。

本セミナーでは、今年1月に厚生労働省より発表された『ひきこもり支援ハンドブック-寄り添うための羅針盤』や、神戸市看護大学の船越教授が中心となって作成された『ひきこもり状態にある本人および家族を対象に熟練支援者が行う訪問支援のプロセス』を参考に、ハピネス訪問看護ステーションが実践する支援方法について紹介しました。

精神科訪問看護の特徴のひとつは、ご本人だけでなく、そのご家族も支援の対象とする点にあります。訪問時にご本人に直接会えない場合であっても、看護師は家族への継続的な支援を行いながら、時間をかけてご本人との関係性を築いていきます。
ひきこもり支援のゴールは、社会参加や就労といった結果そのものではありません。むしろ、本人およびご家族が、自分たちの意思で今後の生き方や社会との関わり方を選択できる「自律」を目指すことが大切です。精神科訪問看護では、そのプロセスを大切にしながら、ご本人・ご家族の「尊厳」を守る支援を行っています。

また、一人ひとりが抱える背景や思いに丁寧に寄り添い、それぞれのペースに合わせた“オーダーメイドの伴走型支援”を継続することが、長期的な支援において重要だと考えています。画一的な方法ではなく、個別性に配慮した支援こそが、ひきこもり状態からの回復への第一歩になります。
今後もハピネス訪問看護ステーションでは、地域の支援団体と連携しながら、ひきこもり状態にある方々とそのご家族に寄り添った支援を継続していきます。
