神戸市を拠点とする、精神科に特化した「ハピネス訪問看護ステーション」では、毎週木曜日にスタッフ全員が集まり、カンファレンスや勉強会を行っています。看護の質を高め、利用者さん一人ひとりの「その人らしい暮らし」を支えていくために、スタッフ同士の対話や学びを大切にしている時間です。

本日行った勉強会のテーマは、「利用者さんの希望の聴取」について。利用者さんが「どんな生活を送りたいのか」「どんな人生を望んでいるのか」という、“希望”に焦点を当てる支援の大切さを、スタッフ全員で改めて確認しました。
私たちは日々の訪問の中で、服薬や睡眠、症状の変化などについて聴くことはもちろん、利用者さんの内側にある「こうなりたい」という想いにも耳を傾けるようにしています。ただ、希望を言葉にするというのは、決して簡単なことではありません。とくに精神的な困難を抱える中で暮らしている方にとっては、自分の希望が何なのかすら分からないという場合も多くあります。
だからこそ、最初から具体的な目標を求めるのではなく、「入院せずに生活したい」「元気に過ごしたい」といった抽象的な希望でも大丈夫。大切なのは、その思いを一緒に言葉にし、少しずつ具体化していくプロセスを共に歩むことです。

また、私たちは利用者さんの語った希望を、しっかりと看護計画に反映させていきます。希望が計画の中心にあることで、支援の途中でつまずいたり、立ち止まったりすることがあっても、「なぜこれを目指していたのか」「どうしてこの支援が必要なのか」を、利用者さんと看護師が一緒に立ち返ることができます。
希望に立ち返ることは、前に進むための力になります。時には進んでいるように見えても、実は無理をしていたり、自分の希望とはズレていたりすることもあります。そんなときに、過去に自分が語った希望を振り返ることで、今の自分にとって本当に大切なことに気づくことができるのです。
ハピネス訪問看護ステーションでは、看護師一人ひとりが「聴く力」を育み、利用者さんの思いに丁寧に寄り添える支援を目指しています。病気のコントロールだけでなく、その人らしい人生を共に描いていくこと。それが私たちの看護の根幹にあります。
そして、このようなハピネスの支援体制について、より多くの方に知っていただく機会があります。
5月17日(土)に、精神科訪問看護をテーマにしたセミナーを開催します!
当日は、ハピネス訪問看護ステーションの実際の支援事例や、希望を中心に据えた看護の実践についてもお話しします。精神科訪問看護に関心のある方、他職種の方、これからこの分野を目指す方も、ぜひご参加ください。
